HY: 2010年7月アーカイブ

田北清孝35歳8

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本日のおすすめのボードには

ボタン海老刺身
いわし二種盛り
(真鰯酢〆、浜子)
自家製いか塩辛
自家製チャーシュー
地鶏とキノコのバター醤油炒め
フルーツヨーグルト

と盛りだくさんです。

 

 

『おお、いわしがある!』

 

と、ぶつぶつ言っていると

ももねちゃんが生ビールを持ってきます。

「お通し!」と、マスターがカウンター越しにお通しの皿を渡してくれます。

 

「今日のお勧めはなんですか??」

田中くんがマスターに聞いています。

 

「ぼたん海老と自家製チャーシューかな、いわしも良いですよ!」

「田北さん何しますか??」

田中君がビールの泡を拭きながらお勧めのボードを見ています。

 

「いわし二種盛りと、自家製チャーシュー!」

清孝君は自分勝手に注文です。

 

出てきたお通しは、かつおと玉葱の和え物に

ごぼうと海老です。

 

「お通し!うま!!」

『ここいつも、お通しうまいよな~残り物うまく使ってるよ!!』

生ビールが進みます。

 

「田北さん、生、お代わりどうすか??」

早々飲み干したジョッキを手に田中くんも楽しそうです。

 

「俺、日本酒にするわ!やっぱ、刺身には日本酒だよ!」

清孝君はマスターにお勧めの地酒をたずねます。

「上喜元って辛口でいいっすよ!」

マスターの言葉に、聞いた事がない名前だけど、

現在、上機嫌の清孝くんにはぴったりです。

 

「お疲れっす!」

ハーレーのカスタムショップに勤める友二くんが

グラスを差し出してきます。

「久しぶりですね!元気すか??」

日焼けした顔に人のよさそうな笑みが浮かんでいます。

「毎日毎日重い荷物を運んで、も~大変!」

田中君が大きな声で答えます。

 

見るとマスターが、すばやい手さばきで、いわしをさばいています。

あ、というまに、綺麗に捌かれ盛り付けられた、いわしの刺身が出てきます。

『おお!すごいな~!』

清孝くんは、その手さばきに感動です。

 

いわしの新鮮な風味と冷えた日本酒が口の中に広がります。

『まじ!うま!』

清孝君は何かに引かれたような気がします。

 

続く・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

田北清孝35歳7

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お腹が満腹になり午後の業務に出発です。

午後の業務は順調に進み、まだ明るい18時に会社に戻る事が出来ました。

 

残務処理の伝票整理をしていると、

荷台の片付けが終わった田中君が事務所に入ってきました。

「片付け終了です~。」

仕事が終わると元気いっぱいです。

 

「田北さん。帰り二十二十行かなっすか??」

二十二十は、会社の近くである、沼図市腹にある創作料理のお店です。

刺身や和牛など、その日に良いものを日替わりで出してくれる居酒屋です。

特に、マスターがお魚屋の経験があるのでお刺身は絶品のお店です。

 

「たまには行きましょうよ~。」

「今日、木村さん用事あるみたいなんですよ!!」

木村さんは、会社に大先輩なのですが、よく田中君達と出かけているようです。

 

「う~。良いよ~。」

あまり気乗りしない清孝君ですが

刺身のつやつやと、生ビールに思わずそそられてしまいました。

 

『こずかい少ないんだけど??まあ良いか??』

このきまぐれが、清孝くんの人生の大きな転機となる事となります・・・・・。

 

「お~どうも~いらっしゃい!」

マスターが田中君と清孝くんの顔を見て大きな挨拶です。

 

お客さんが結構入っています。

カウンターには、ハーレーのカスタムショップに勤める友二くんが彼女と、

軽自動車のショウハツに勤める若者達、

そして、いつも陰気に隅の方で飲んでいる怪しい不動産屋のおじさんがいます。

 

カウンターに座る二人に、猫目が可愛い、ももねちゃんがお絞りをもってきます。

「お飲み物はどうしましょう??」

「生2つ!」

田中君が元気に答えます。

「おまえ、仕事の時もそのくらい元気だと良いのにな~。」

「ははは~。」

田中君が大きな口を開けて笑います。

 

続く・・・。

 

 

 

 

 

田北清孝35歳6

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食欲が陰気な気分を吹き飛ばします。

「うま~!」

田中君の鼻息が荒くなります。

清孝君も負けじと大盛のやきそばを頬張ります。

 

もぐもぐ・・・

ぱくぱく・・・

むしゃむしゃ・・・

ごくごく・・・・

 

「食ってるときが一番幸せかもしんないっすよ!」

 

肉体労働者の筋肉にエネルギーがあふれてきます。

食べるときはおしゃべりな田中君も言葉少なめです。

 

「ふ~。」

田中君がおいしそうに食後のタバコをふかしています。

 

「食った食った~。」

 

落ち着いてくると回りの雰囲気が目に入ってきます。

 

忙しく動くウエートレス、

 

笑いあい食事をするお客さん、

なんだかみんな楽しそうです。

 

何かを炒める音が厨房から聞こえてきます。

 

清孝君は急にマーボー豆腐が作りたくなりました。

 学生時代、友達が来るとよく作っていました。

なぜか、本格的な調味料まで買い込んで、本気のマーボー豆腐です。

 

みんなで汗をかきながら

 

辛れ~

うめ~

 

と騒ぎながら食べたのを思い出しました。

 

基本的に料理好きな清孝君は

時々思い出したように料理を作ります。

『最近やってないな~』

家も、帰れば疲れちゃってすぐ寝ちまうしな・・・。

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

田北清孝35歳5

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席に付くと、冷たいお水とおしぼりが運ばれてきます。

「なんにしようかな??」

田中くんがメニューを見ながらつぶやいています。

 

清孝くんはエビチリと堅やきそばにしました。

田中くんはラーメンとチャーハンのランチセットに唐揚げです。

さすが若者です。

胃袋は無限大です。

 

中国人らしき従業員が、なれない日本語でオーダーを取っていきました。

 

「ここ安くてボリューミーでいいですね??」

と、汗をフキフキの田中くんです。

 

普段から清孝くんも中華系は好きなので、田中君との仕事の時は

一龍が多くなります。

 

でも、先ほどのお客さん宅の失敗で気持ちが晴れません。

この仕事もう限界かな・・・・?

 

清孝くんは最近良く思います。

タンスやら冷蔵庫をただ運ぶ・・・。

でかいし・・

重たいし・・

仕事をはじめた当初は身体を動かすのが好きで

重いものを持つと先輩社員が

「すごいなお前力あるな~。」と、持ち上げてくれたので

仕事自体に不満はなかった。

でも最近30代半ばになると

『この仕事ず~と続けるのかな??』

と、暗い気分になります。

ましてや、先ほどの失敗です。

 

と、陰気な気分をかき消すような声で料理が運ばれてきます。

「おまち どう さまです・・。」

へんなアクセントですがまあいいか!!

 

「うお~。」

「すごいっすよこれ~」

田中君が興奮しています。

 

「あ・はははははははー。」

清孝くんも思わず笑ってしまいました。

田中君注文の唐揚げがなんと

大きなお皿に見たことがない山盛りです。

 

「田北さん、これすご過ぎませんか??。」

「単品ですよね~。いくらすか??」

田中君がメニューの価格を再確認です。

たしかにすご過ぎかもしれません。

 

「おー食うぞー。」

田中くんは、もりもり食べ始めます。

 

陰気な気分が飛んでいきます。

『いいな~。幸せ~。』

清孝君も負けずに食べはじめます。

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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